仏教にみる無常観と無常感の差異
『仏教徒の俗曲としての御詠歌は、本来、死者を追悼する歌であるから、愁嘆的情緒を包括し、また、仏教そのものは諦観的な世界に潜むペシミズム的な情感を背景に持っている。この御詠歌の持つ詠嘆調は、濃淡の差こそあれ、日本の伝統歌曲のほとんどに感性的影響を与えてきたものであり、また、それが、今日の日本民衆歌曲の特徴の一つになっているとさえ思う』と音楽評論家の園部三郎氏が述べたことに対して山折哲雄氏は深い共感を示し乍ら、インドや中国の仏教と日本の仏教の差異を「ペシミズム的情感の表出」に見出している点に注視しいている。また、『無常観』と『無常感』の差異にも論及している。
その論拠として陽音階のインド音楽に対して陰音階の日本音楽を対立軸としながら仮説を展開してみせて無常観における陰と陽を想定して日本仏教は陰音階であると断定している。なるほど、釈迦のいう『無常感』は物事の仕組みを客観的かつ冷静にみている点が特質であるのに対して、日本でいう無常は、平家物語の冒頭に出てくる「祇園精舎の鐘の声・・・」にも代表される無常であり、それは最早、『無常観』の無常ではなく無常の異常発酵した形態を持ち更に述べるならばセンチメンタルないし陰々滅々たる【無常感】であると喝破している点は刮目すべき知見であると思えた。【参考文献 無常の風に吹かれて 山折哲雄】
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